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デジタルミュージックコンテスト
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12月6日(水)

今年もある方に勧められ、デジタルミュージックコンテストに出た。
去年は第一回目という事で主催者側の目的、進行、内容等多々疑問に残る事があったけれど、今回はそれの改善を期待して僕は望んだ。
去年は正直僕が素晴らしいと思える作品は2つぐらいしかなかった。
今回は驚く程レベルが高かった。
2番目に発表されたNさんの作品のクオリティの高さは圧巻で、緻密で迫力があって、音色や構成や世界観全てにおいて、抜群のセンスを持っていた。1位になると思った。
3番目のMさんも環境音中心に抽象的で透明な作品で良かった。女の人だけに作れる感覚という感じがした。
5番目のKさんは去年も参加されていた方で、DNA情報を音にするコンセプト?のもと、もの凄い情報量の過程を経て、まさに"研究"といった作品だった。
今回プレゼンテーションは2分以内という事だったけど、10分ぐらいプレゼンしていて少し卑怯だった。とても教授群に支持されていた。
ルール内で行うはずのコンテストなので、それが許されるなら、僕も長々やりたいもんだった。
Kさんは肝心のアウトプットされたものがしょぼかった。
DNA情報をMIDI化し、FM音源で鳴らしたもので、なぜか4つ打ちだった。
4つ打ちのビート部分は自分で曲としてまとめるためなのかなと思い、後で質問するとDNAは4つ打ちなんですよ。と意味不明な事を言っていた。???そうなの?どんな解釈?
6番目のW君はルールで5分以内と決められてる曲が5分を超えていて、審査員からかなり厳しく言われていた。
プレゼンは超えてもいいのに、曲は超えてはいけないのか。。。?
7番目のA君はハーフの人で、やたら音楽と宗教を結びつけていた。そして自分の中で一番宗教を感じさせるというトランスを披露していた。
プレゼンでは音圧が高くないと自分は納得できないからビートもんだし、コンプを多用したと言っていた。??
その後に披露した音圧主義反対の僕のピアノの曲より音圧は低かった。
曲的にもいわゆるMIDIの匂いがプンプンする曲で、僕的にはとてもナイ感じだったけど、審査員からはとても評価されていた。
8番目のHさんの曲はバイノーラルマイクとMax/Mspで作られた音楽で、おもしろかった。
最後が僕の出番だった。
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前日にDonにプレゼンを見てもらい、かなり修正をしてもらって、練習を重ねた苦手のプレゼンを精一杯やった。
何千万?とかいうスピーカーシステムの音が割れていたのが残念だった。
後半の映像作品部門は映像があり得なくて、音をつけられるようなものではなかった。
ポップな作品が多かった。
4番目に発表するはずだったHMさんの曲が再生できなかったとのことで、最後にやり直した。
曲は池田亮司を思わせる曲で、ノイズ美学を堪能させてもらえる僕の大好きな感じの曲だったけれど、ここでなぜか前の方に座っていたある教授が耳を塞いでいた。
しまいには、過大入力でスピーカー壊れちゃうよと大きな声で言った。
僕はもっと大きくてもこの手の曲は良いと思ったし、納得がいかなかった。
作曲者の意図する音を再生できないなら、いくら何千万とするスピーカーでも失格だし、こういう新しい音楽を理解できない人が審査するなんておかしいと思った。
結局古い感性を持った人達がその枠の中で審査している。
新しい音楽の開発のためのコンテストじゃない。
センス悪いものを評価している部分が納得できた。
色んな意味で勉強になったコンテストを終え、ユンとDonと海鮮Donを食べに行った。
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夕方会場に戻り、審査員の一人作曲家O教授の講演会を聴いた。
O教授はあるとても有名な作曲家の弟子らしく、その先生の教え「作曲家は自分の曲を分析してはならない」という言葉を一夜だけ破り、自分の曲を分析してみせると言って講演会を始めた。
そういえば僕のプレゼンの時に誰かの質問に対し、ノイズの事で僕の思いを語っていたら、作曲家が自分の曲を解釈するもんじゃないと言われた。。。
その方はある時自分の音楽をコンサート会場で聴いていた時に、時代についていってない自分の音楽を恥ずかしく感じ、4年間作曲ができなくなっていたと言った。
その後友人の死をきっかけに作曲を開始し、今までの作曲法とは違う作曲方法を始めたらしい。
その方法とは自分の感情から一切脱し、人々にどのような感覚を与えるのかという事をとことん追求した方法。心理学等をかなり研究した結果でもあるらしい。
その後バッハ、ベートーヴェンの曲の分析を始めた。
彼らがなぜ天才かと言うと、それは人々がその音を聴いたらどのような感覚になるのかという事知っていたからだと言った。
このフレーズをこのように結びつけ、こう展開すると...こう感じる。
と楽曲の分析をした。これはとても分かりやすく理解できた。
こういった理論を自分の曲で用いたらしい。
それは数学的な作曲方法で、教授は、
「自分の中で思いついたメロディーやフレーズを曲に反映させるなんて稚拙な事を作曲家はしてはいけない」とまとめていた。
自分ではなく、他人の感覚をどう動かすのかを考えろと。。。
現代の作曲家は楽譜による作曲、コンピューターによる作曲、映像への音楽など、様々な作曲方法を勉強しなければならないと言っていた。
それはつまり現代の人が求めているものを掴み、現代に何が必要なのかを知り、現代の流れに常にのっているためだと。
そして新しい音楽の創造こそが作曲家の目的だと言っていた。。。

教授の話は僕にとって新しい事が多くて、とても勉強になった。
究極なところでもあると思ったけど、そうじゃなきゃだめというのはおかしいと思った。
自分の想いを曲にのせて作ったって良いと僕は思うし、色々なものがあるからこそ、音楽は自由で平等で発展していくのだと思う。
教授の意見も一つの考え。それだけが正解というのが嫌だ。

その後結果発表があって、僕は3位だった。
DNAのKさんが一位、トランスのA君が2位だった。
納得がいかなかった。
Nさん、Mさん、HMさんらが選ばれるべきだと思った。
ここまでアウトプットがシカトされるなんて。
審査員の教授群のセンスを本当に疑う。
賞金と協賛だったサントリーからCCレモン一年分、ではなく半ダースをもらった。
重かった。。。

その後の懇親会では様々な教授や出演者と話す事ができた。
O教授に話しかけると自分の話だけをし、僕の発言を聞こうとせず、さっそうと行ってしまった。
その時流していた外人アーティストの映像をひたすら褒めていて、日本人にここまでの映像を作れる人はいないと何度も言っていた。確かにアイディアと感性は人間離れしていておもしろかったけど、黒川さんや高木さんの緻密な映像に比べたらそこまででもないと僕は思った。
なかには話の分かる教授もいて、僕の言わんとする事を全て理解してくれていた。
その教授と話していると、僕の中の怒りが収まっていって、気持ちに整理がついてきた。
ありがたかった、あの若い名前の分かない教授。。
耳を塞ぎ、スピーカーが壊れちゃうと言った教授には、 僕の想いをハッキリ伝えると、いつまでもつっかかってきてください。私らは常に君達の先生なのですと言った。
不思議な人。。。
会場にはサザエさんの番組の中の曲を作ってる人や、武満徹と並ぶナントカの3大作曲家の一人?という人がいて、その人は22歳ぐらいから作曲を始めたらしい。
その人は作曲は音楽的感性ではなく数学的なアイディアが必要みたいな事を言っていた。??
トランスのA君は話してみると良い奴で、僕とは全く違った考えを持っているにせよ、彼の考えや音楽に対する熱意など好感を持てる部分もあって良かった。
色々な考えがある。みんな頑張る。
最後にNさん、Mさん、HMさんらと話した。
彼らはやはり僕と同じような事を思っていて、教授の悪口などで大いに盛り上がった。
共感できる仲間がいて良かった。

めっちゃ勉強になった一日だった。
懇親会の時の白子や普段食べられないような美味い料理達が忘れられない。。。
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by free_ee_free | 2006-12-06 19:23
<< 終わりに近づく 定期演奏会 >>



Junya Yanagidaira
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